水間村の中心部に、魔法の守護神として、区民から崇められて来た欅(けやき)の
巨木がある。
昔から言い伝えによると、天平勝宝の頃から約千二百年も生き続けられている。
太古からこの土地は、北側は深い山、麓(ふもと)は日本海続きの入り江だったとか。
深く巻き込んだ大沼には蒲原(がまはら)が広がり、すっぽんが住んでいた。
ある年大風で山津波が起こって、大量の木々や土砂が江の一角を埋める。
その先端には一本の欅(けやき)が自生し、育って来たのがこの樹である。
天正年間になって、水の溜まり場の意味から、この土地は水間と呼称(こしょう)され
「水間の欅(けやき)様」といわれるようになったとか。
その後、横に鎮守のお堂が建てられ、共に大切な村の信仰の神として 尊ばれてきた。
現在は、堂は寺へ移されて、公民館と子供の広場として利用されている。
代々、村に生まれ育った子供達は、この木に登って遊んだ。
よじ登る、滑り降りる、枝にぶら下がる、飛ぶ、などして強い子に育った。
その間、私が知っているだけでも数人は枝が折れて小川に はまる等したが
不思議と怪我人はなかった。
また毎年七月には、此処(ここ)で荒神祭が盛大に行われるのだった。
その日に、一度も雨が降った事がないのと、事故皆無の祭りができることで
有名となっていた。
近年急に子どもが少なくなり、残念ながら、この行事は休年されている。
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胸高5.17㍍、四方に広がる見事な梢(こずえ)は数10㍍にも及び、神としての
風貌(ふうぼう)は生きる勇気をあたえてくださるのだ。
平成になって舞鶴市の指定木 「大関欅(おおぜきケヤキ)と番付け
賞されている。近年は他所からの 来観者もある。
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